ICOの開催時から広く注目を集めニュースメディアなどでも取り上げられた事でも知られるTezos(テゾス)コイン
この記事では、そのTezosコインの基本情報から将来性までをまとめて解説いたします。
仮想通貨Tezosとは
Tezosは2017年にリリースされた仮想通貨の一種で、テゾスと読みます。
通貨単位は「XTZ」と表し、価格は1XTZ=約76円で、時価総額は第19位です。(2018年11月末現在)
そんなTezosの基本情報はこちら。
Tezosの基本情報
プロジェクト名 | Tezos |
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ティッカー(単位) | XTZ |
発行/管理元 | デザス財団 ‘Tezos Foundation'(スイス) |
開発者 | アーサー・ブレイトマン、キャスリーン・ブレイトマン |
総発行数 | 763,306,930 XTZ |
アルゴリズム | Delegated Proof of Stake(DPoS) |
公式サイト | https://tezos.com/ |
プロジェクト自体は2014年からスタートしており、以前から注目されていました。
新しく登場する仮想通貨の多くは、イーサリアムのプラットフォームを利用してERCトークンとして誕生した後に独自のブロックチェーンに移行する…というパターンを歩みます。
しかし、TezosはICO以前から独自のプロコトルがあり、運営陣もゴールドマンサックスやモルガン・スタンレーなど名だたる金融大手企業出身者が名を連ねていました。
このように技術的にも人材的にも高い水準であったことから、多くの投資家が関心を寄せていたのです。
2017年7月にICOが始まると、日本円にして260億円以上の資金調達に成功し、一気にTezorの名前は世界に知れ渡りました。
その時はちょうど仮想通貨のマーケットが急速に拡大していた時期だったとはいえ、実に驚異的な金額です。
仮想通貨Tezosはスマートコントラクト機能を備えていること、dAppsのプラットフォームという特徴を持つことから、しばしばイーサリアムに似ていると評されることも。
しかし、実はTezosはビットコインやイーサリアムなど既存の仮想通貨の弱点を補うために生まれたコインなのです。
Tezosの特徴
ここからは、Tezosが持つ特徴について詳しくご紹介します。
ビットコインの弱点を補う新しい通貨
ビットコインなど、従来の仮想通貨は分裂(ハードフォーク)のリスクが常に存在していました。
例えばビットコインは1つのブロックのサイズが小さく、処理がニーズに追いついていないことが長らく問題となっていました。
この問題によってBitcoin ABCとBitcoin SVという団体が、それぞれ異なったアップデートを行おうと対立し様々な混乱が発生。
最終的にハードフォークしてビットコインキャッシュが誕生しましたが、相場に大きく影響もしたのは記憶に新しいニュースだと思います。
他のパターンだと、2016年にイーサリアムのプラットフォームを利用していたThe DAOというプロジェクトがハッキングされ多額のイーサリアムが盗難される事件が起こりました。
これにより、ハードフォークをして新生イーサリアムとイーサリアムクラシックの2つに分裂するきっかけとなったのです。
ハードフォークは互換性のないアップデートなので普通に行われる分には問題ないのですが、運営陣の対立が要因となるケースもあり、通貨の安定性や価格に影響を及ぼすことも…。
Tezosはネットワーク/コンセンサス/トランザクションの3つのプロコトルを独立させることで、将来的に大幅なアップデートが必要になっても分裂(ハードフォーク)をせずに修正できるようにしました。
通貨が分裂するリスクが無いというのは、投資をする側からしても安心ですよね。
公平で安全性の高いトランザクション
Tezosでは、DPoSというアルゴリズムが採用されています。
これはDelegated proof of steakというもので、限られた人が取引の承認を行うPoSをさらに発展させたものです。
コインの所有量と所持期間に応じて、取引を承認して新しくコインを生産する人を選べるというPoSの特性はそのままに、承認者を投票によって決められるシステムとなっています。
より公平性が保たれるこの方法はTezosの他、EOSやliskなどのコインでも用いられており今後さらにメジャーになって行くでしょう。
また、Tezosのもう1つの大きな特徴といえばスマートコントラクトが実装されていること。
スマートコントラクトは、「Aさんがいくら払ったら、◯◯を行う」といったように契約の内容をブロックチェーンに保存できる機能です。
Tezosのスマートコントラクトはこれに加えて、Formal Verificationという検証機能が搭載されています。
Formal Verificationはソフトウェア製品の検証にも使われる方法で、様々な数学的理論を用いることで、契約内容に不正はないか?ちゃんと実行されたのか?などの点が検証され安全性が高まります。
不具合が起きにくいOCamlを採用
TezosはOCamlというプログラミング言語が使用されています。
これは1996年にフランスのINRIAという国立の情報研究所で開発された、比較的新しくプログラミング言語で日本では東京大学理学部の研究でも用いられているほど。
バグや不具合が起きにくく、高速処理ができるのが特徴でスピードが要される仮想通貨の世界にぴったりです。
また、簡潔なプログラミングができるので読み取りもしやすいため、一般ユーザーでも修正の提案がしやすいのも人気のポイント。
Tezos財団は開発チーム以外からの提案も受け付けており、案が採用されれば報酬が支払われます。
あなたの提案によってTezosがバージョンアップする…なんてこともあるかもしれません。
Tezosの問題点
これまでTezosの良い側面にスポットを当ててきましたが、問題点がないわけではありません。
訴訟問題が続いていた
いきなりヘビーな話題ですが、Tezosを語る上で避けることはできません。
最初に起こった訴訟は運営陣の内紛が原因だと言われています。
ICO終了後の2017年秋、共同開発者のブライトマン夫妻がTezos財団のヨハン・ガーヴァース代表の解任を求めたことが事の発端です。
どうやらICOで集まった多額の資金の運用方法をめぐって対立したようですね。
ブライトマン夫妻は「代表が解任されなければプロジェクトから自分たちが退く。ICOで集められた金額は変換されない寄付金となりうる。」という声明を発表して大問題になりました。
これを受けてガーヴァース氏は「資金欲しさに夫婦が起こしたクーデター」と夫妻の主張を一蹴。
そうなると開発が止まったり、トークン配布もされないなど投資家はたまったものではありません。
ついにフロリダ州で投資家たちによる集団訴訟が起こりました。
さらに米国証券委員会から監視の目を向けられるなど、Tezosにとって厳しい状態が続きましたが2018年8月に正式に訴えが却下され一連の訴訟問題は落ち着きました。
国内の取引所で買えない
日本の仮想通貨取引所では、安全性を確保する目的で取り扱い銘柄にかなり制限があります。
国内のブロックチェーンや仮想通貨に関する協会は、ハードフォークによって生まれたコインを支持しない考えを明らかにしています。
金融庁も2018年に起こったハッキング事件を受けて慎重な姿勢を続けているため、Tezosのような新しいコインが国内の取引所に上場する可能性は低いでしょう。
現在、Tezosが買えるのはUex/Bitfinex/HIT btcなど海外の取引所のみです。
これでも以前よりずっと増えたので、国内からでも徐々に買いやすくなっています。
Tezosの将来性
Tezosにもメリットとデメリットがあることが分かりました。
しかし、最大の問題出会った訴訟問題や内部分裂は一旦の落ち着きを見せ、開発チームの再編により再び動き出しています。
9月にはメインネットが公開され本格的な運用が始まり、価格も一時30%ほどアップしました。
こういった面からもTezosが本来の計画に戻り、徐々に投資家からの信頼が回復していることが分かります。
ビジネス面でも前進しており、先述のフランスのINRIA研究所とパートナーシップを結んでいます。
さらに11月には、大手教育系ブロックチェーンシステムのKingslandと提携して、Tezosのカリキュラムをスタートさせることも明らかになりました。
分かりやすく例えると、放送大学のような通信教育期間に仮想通貨のエンジニア育成コースができたという感じです。
2019年から始まるこのコースで、1,000人規模の人材を育成する予定です。
将来的には、ゼロ知識証明などを用いてプライバシーを確保しながら取引できる事を目標にしており、実現すれば多くの金額が動く企業間取引などにも用いられることも考えられます。
先日はその一歩としてTezos財団が暗号型ウォレットアプリのAirGapへ助成金をサポートすることも発表されました。
問題が生まれる原因にもなった多額の資金調達は、現在人材の育成やスタートアップ企業へのサポートなど有効に使われているようですね。
このように日々新しいニュースが発表されるため、将来性への期待も高まります。
ただ、本格的にプロジェクトが動きだしたばかりなので、投資を考えている場合は少しずつ様子見しながら行う方がいいかもしれません。
まとめ
今回は仮想通貨Tezosについて解説しました。
2.ハードフォークをしなくても大幅アップデートが出来るので分裂リスクがない
3.金融の世界的企業出身者など人材も豊富
4.早くも後進の技術者の育成に力を入れるなど長期運営を視野に入れた動きをしている
などの特徴があることが分かりました。
ICOでの超多額資金の調達やそれに続く内部分裂のゴタゴタなど、いい意味でも悪い意味でもニュースに事欠かなかった日々は落ち着き、これから真価を問われる時期に来ています。