2018年は仮想通貨が良くも悪くも盛り上がりましたね。そんな中、仮想通貨交換所として業界に新しい風を吹かすべく、奮闘しているのがビットポイント交換所。
この記事では、直接インタビューでお聞きした内容を読者様にお伝えします。ビットポイントの代表取締役である小田さんからお話をお聞きすることができました。
中には仮想通貨の未来を垣間見れるような面白い内容もありますので、ぜひ、読み進めていただければと思います。
BITPoint代表小田さんについて
今回インタビューのご協力いただいたのは、ビットポイント代表取締役である小田玄紀氏です。
それでは早速インタビュー内容に入っていきましょう。
今後の仮想通貨交換所としてのポジショニングについて
BITPointには大きく3つの特徴あります。
- 安心・安全な仮想通貨交換所
- 決済手段としての仮想通貨の普及
- 海外展開・現地でのマーケット獲得
「安心・安全な仮想通貨交換所」として設立当初から取り組んでいます。
2014年くらいから仮想通貨取引サービスを始めた交換業者がある中でBITPointは2016年から設立し、どちらかと言うと後発組として出発している認識です。
初めて仮想通貨を始めようとしている大半の方が「不安・危険」に感じているだろうと思い、「安心・安全な仮想通貨交換所」を提供できれば、他社と大きな差別化が図れると考え満を持しての参入となりました。
1つ目は、BITPointは金融商品取引業者水準のセキュリティ、システム、管理態勢を構築すること。前述の通り、設立時より注力して取り組んでいます。
2つ目は、BITPointとしては仮想通貨の本当の価値は、投資だけではなく、送金や決済にあると思っていまして、決済手段としての仮想通貨を普及させていきたいと考えています。
3つ目は海外展開を進めております。日本だけではなく、香港、韓国、台湾、マレーシアで交換所を運営しております。
今後も様々な国で展開していく動きを進めています。
結論から言うと、金融サービスを提供する事を意識した組織の構築です。証券会社出身者を含めた社員を増やし金融機関としての自覚を持った組織体制を強化しています。
加えて1つの大きな特徴として、オンライン証券会社でシステム開発経験の豊富なメンバーに参画してもらいました。金融商品取引業者水準の管理態勢や開発を含めどのように進めればいいのかを理解しているのが強みではないでしょうか。
管理態勢を徹底するために人員を十分に採用しました。ごめんなさい。部署ごとの社員数は開示していませんが、全体で71名(2018年8月31日時点)配置しています。
信託保全について
ー2017年の3月までサービスを採用してはおりましたが、2017年4月1日の改正資金決済法の施行に伴う対応のため、 日証金信託銀行との信託保全契約を解消しました。現在は、同法令に準拠してお客様の資産を分別管理しています。
信託保全を再開しようとは今は考えていません。監査法人の監査も受けており、法定通貨に関しては分別管理を徹底しております。また外部に仮想通貨を送るという行為自体にもリスクが伴います。
分別管理をしっかり行っていれば、信託保全は必要ないと考えています。
信託会社に対してお金を預けるということは重複管理の状態です。要は、信託会社に対してお金を振り込んでいる状態ですね。例えば、お客様のお金を引き出すとなると、数日かかってしまいます。諸々の機動性が損なわれ、ユーザビリティの低下を招きかねません。Q.信託保全はしないとのことですが、万が一、ハッキングで仮想通貨が流失した場合、カバーは大丈夫でしょうか。
分別管理をしっかり行い、セキュリティ態勢を万全に整えれば流失は防げると考えています。その態勢を整えるためにBITPointでは日々奮闘しています。
加えて、BITPointは上場会社の子会社ということもあり、3か月に1回親会社にて金融関連事業の財務情報の開示も行い、こちらもお客様が安心して利用できる要因の1つではないかと考えています。
取引所利用者の増加施策について
大事なことはコアユーザーに継続的に取引してもらえることだと考えています。短期間でユーザー数を増やすことに価値は感じていません。
とはいえ、たくさんの方に使っていただけるようにしていきたいとも考えています。
ライトユーザーとヘビーユーザーの定義は難しく、ライトユーザーだった方が仮想通貨の価値が上がって、結果的にヘビーユーザーとなるケースもありますよね。
本当のコアユーザーは数%だと思います。
そういった意味でいうと、例えば50万人くらいのユーザーが集まった時に5000人〜10000人の方がヘビーユーザー。残りの方がライトユーザーだと定義はできます。
BITPointは2018年6月22日に関東財務局より業務改善命令を受け、現在も業務改善計画の履行中のため、積極的な業容拡大に繋がるマーケティングの施策は自粛しています。
先日発足した業界団体「日本仮想通貨交換業協会」がおそらく10月下旬には正式に金融庁に認定されるのではないかと思います。(2018年10月22日現在※)
認定協会になれば自主規制団体として、安心・安全な取引ができるような基準を敷いてくれるようになるのかなと思っています。こうなってからが本番だと思っています。※2018年10月24日、「日本仮想通貨交換業協会」は金融庁より認定資金決済事業者協力の認定取得。
コアユーザーに対するサービスの強みについて
BITPointでは今まで1度もサーバーがダウンしたことはありません。
詳しくはお話できませんが、サーバー構成にも色々な特徴がありまして、一定のキャパシティを超えた場合に自動的に他のサーバーを増やす設計になっています。独自サーバー設計のもと一時的にシステムダウンが起きても影響限定的であり、安定性が担保されるため、コアユーザーにご支持いただいていると自負しています。安定性のある設計であることがコアユーザーに対しての強みではないかと。
システムに関しては証券会社にいたメンバーが、金融商品取引業者水準の体制をとっています。金融商品取引業者水準の体制を、仮想通貨交換所のシステム面で整えることが大事だと考えています。
MT4ツールについて
MT4は世界中のFXユーザーから支持の高い取引ツールのため、FX経験者を中心に多くの方にご利用いただいています。ただ、APIを解放すると、MT4に頼らなくても自分でアルゴリズムを組んで自動売買を行えるようになるので、MT4の優位性は低くなってくる可能性はあるかと思います。
一方でMT4が大好きといったコアなユーザーもいますので、継続してサービスは続けていこうかと考えています。
今はMT4のオフィシャルサポートは終了してしまいましたが、BITPointでは継続してMT4のサポートは行っていきます。
金融庁との兼ね合いについて
健全な市場の成長、発展をするために、BITPointとしてやるべきことを行っています。
今後、BITPointとして積極的に取り組んでいきたいのはICOですね。
ですが、まずは、業務改善計画をしっかり遂行し、金融庁とのコミュニケーションを密にしながら少しずつ進めて行ければと考えています。
BITPointでは9月末に態勢構築はほぼ完成しています。
今後、態勢構築をPDCAサイクルでうまく運用できるかの効果検証を行っています。
仮想通貨決済について
現状は大手格安航空会社との提携や仮想通貨決済に関しての点で言うと、業務改善命令を受け、自粛しています。
日本では2020年に向けて、QRコード決済が普及すると見ているので、BITPointとしても仮想通貨を決済手段として普及できるように準備を進めていきたいと思っています。
ICOへの考え方について
BITPointは「ICOだったら何でも良い」という考えではなく、そのプロジェクトがどういうプロジェクトであり、明確な目的を持ってビジネス等に使用できるかどうか、そういう観点でのデューデリジェンスがメインになります。
つまり海外で盛り上がっているからと言った理由ではなく、しっかりと「信頼できるプロジェクト」かどうかを精査しないとICOは成り立たないかと考えています。
これまでの国内外のICO案件でいうと、例えば「何百億集めました」といった調達金額が多ければ多いほど、ICOが成功したと評価されていましたが、実際は多くのICO価格が10分の1に100分の1になってしまっていると思います。調達金額に関しても、まずは小さい金額から始めて、だんだんと価値を形成していく方が良いと思っています。トークンの価値に関しても、ETHやBTCの機能があるというものでなく、特定の目的、その目的に関して価値を発揮できるICOが良いのではないかなと考えています。
例えばイメージでいうと、不動産投資にしか使えないICO。不動産投資に使えて、そこで決済ができて、投資の代わりにもなる。そうしたICOに価値があると考えています。
BITPointは特定の目的に使えるようなICOが実際に法定通貨を使うより、ICOである方が価値を発揮できるというものを運営していきたいと思っています。
ICOを行った後の管理体制は重要だと思っています。BITPointで、ICOを取り扱う場合はホワイトペーパーの審査は勿論のこと、それ以上に、どのような「マネジメント体制・ビジネスモデル」なのかを一般的なベンチャーキャピタルが投資判断をするような基準を軸に審査します。また、ICOの管理体制もしっかりと整え、いわゆる証券会社が上場の引き受け調査を行う体制と同じような体制の構築が必須条件となります。
これに関していうと、仮想通貨交換所が責任を取るべきだと考えています。
発行体はなかなか責任が取れないかと思いますので、仮想通貨交換所が発行体を見極めて一緒にプロジェクトを進めていくのがベストではないかと思います。
何か問題が起きた際にちゃんと一定の責任を負っていかないといけないと思います。責任を負うからには、きちんとICO発行体の内容を理解していかなければならないと思っています。
一般的にユーザーがお金を出すまでの意思決定、プロジェクトの透明性を担保したいですね
ホワイトペーパーだけではなく、仮想通貨交換業者としてもある程度ICOの説明を具体的にでき、紹介できるようなページを作っていきたいと考えています。発行体自身が伝えるにはなかなか難しいと思うので、第三者的な視点で一緒に伝えていけるよう、その役割を果たしたいと考えています。
ご存知の方は少ないかと思いますが「BBB」というICOがあります。ただし、販売主体は海外の会社なので日本は一切関わっていません。
海外居住者向け通貨BBBについて
BBBに関しましては、完全に海外向けのサービスなので、日本居住者は買えないようになっています。
ホワイトペーパーに関しても中国語、英語の2か国語のみ用意しましたが、なぜかリミックスポイントの株主様がホワイトペーパーを発見し、ビックリしました。
はい。実質、日本で売っている業者なども見かけますが、ICOをしてはいけないと強く認識しています。
買いたい方もいらっしゃったかと思いますが、ただ、そんなに大きく資金を集めたくないという思いです。ビットポイント台湾、マレーシアなどで、少しずつ流通していけば良いのではと考えています。
ビットポイントAPECから台湾、マレーシアなどにおける各種手数料が安くなったり、仮想通貨のローンが組めるなどの機能があります。
ICO発行について
考えていません。
進めていくにはリスクが大きいと認識しています。具体的にリスクとは何かと言うと、日本の会計基準に自社発行したICOの基準が無いということもあります。
ある程度規模感が大きくなった際、ユーザーにとってICOが便利であれば考えて良いかと思いますが、現状では考えていないです。
そうですね。
ユーザー数というより、やはり用途の方が重要ですね。
仮想通貨の将来について
結論からというと、「仮想通貨には可能性しかない」と考えています。
それぞれの国で法律も整備されつつあります。そんな中、海外の皆さんは「なんで日本は法律ができたのに、証券会社や銀行は参入しないんだ?」と言われることもあります。
そういった意味でいうと、これから海外ではの色んな企業が参入してきますので、その流れで、個人的には今年の12月以降にマーケットが活性化していくのではないかと思っています。
取引量もですが、用途として普及していく意味でも可能性しかないと思っています。
例えば有名なポイントカード会社さんの年間利用会員数が日本の総人口50%を突破と昨年記事で拝見しましたが、普段の生活で使用できるまでを目指していけば、圧倒的にユーザーが増えていくと思っています。
こういう目標がないと投機投資で終わってしまうので、送金・決済で実用的に使われるようにBITPointが牽引していきたいです。それが本当の仮想通貨の真の価値かと思っています。
BITPointとしては、マーケットに合わせて今後の仮想通貨の活性化に応じて、体制を整え、しっかりとシェアを獲得していこうという思いです。