トークンの概要や特徴、仮想通貨との違いについて解説しています。
「トークンが持つ特徴ってなに?」
「トークンは何のために使われるの?」
このような疑問をお持ちではないですか?
トークンと仮想通貨は似て非なるもので、トークンはあらゆるプロジェクトの資金調達やサービスの利便性向上のために利用されています。
今後、仮想通貨投資をするのであればトークンについては必須で知っておかなければなりませんので、しっかりと理解しておきましょう。
本記事では、初心者の方向けにトークンの特徴や仮想通貨との違い、メリット・デメリットなどを紹介していきます。
トークンとはそもそもなに?
多くの方が日常的に利用されている楽天ポイントやamazonポイント、近所のパン屋さんのスタンプカードなどもトークンに当てはまります。これらのサービスで集めたトークンは提供されている商品と引換券として利用することができます。
つまり、「トークン=引換券」という意味合いがあります。
では、仮想通貨におけるトークンとは何なのでしょうか?
仮想通貨の「トークン」とは、既存のブロックチェーン上で発行された仮想通貨のことを言います。一般的な仮想通貨はそれぞれ異なるブロックチェーンを保持しており、仮想通貨BTCやETHという通貨はビットコインやイーサリアムのブロックチェーンを利用して成り立っています。
トークンは既存のブロックチェーン上で発行された仮想通貨のことを指し、プロジェクトの資金調達やサービス向上のために使われています。
例えば、イーサリアムはアプリケーションのプラットフォームとしての役割を持っていますが、イーサリアムのブロックチェーン上では様々なアプリケーションが誕生し、その資金調達やサービスの利便性のためにトークンが発行されます。
トークンの特徴
トークンの特徴は以下の3つです。
- トークンの運営者・発行者がいる
- 個人や法人で発行可能
- トークン独自の価値
トークンの管理者がいる
トークンは組織や個人が発行して作られるものであり発行者が存在しています。一方で、仮想通貨の場合はシステムによって発行が決定されネットワークの中央には管理者が存在しません。
個人や法人で発行可能
仮想通貨のトークンは個人や法人、組織であっても新たに発行することが可能です。
この際、株式市場の場合は株を上場させる際に、証券会社などを仲介する必要がありますが、トークンの場合は仲介業者を挟まずに発行ができます。
トークン独自の価値
トークンには仮想通貨としての価値に加えて、トークンの発行者が提供しているサービスへの支払いに使えたり、議決権を得られるようなトークンまであります。
例えば、一定数の金額を保有することで得られる会員権や特定のサービスでアイテムを購入した時に得られるポイントなどがあり、トークンは様々な付加価値を持っています。
分散台帳技術(DLT / Distributed Ledger Technology)とは?
分散台帳技術について解説します。
分散台帳技術とは
分散台帳技術(Distributed Ledger Technology / DLT)とは、分散された台帳にデータを記録・保管する技術です。
従来のシステムである中央集権型のクライアントネットワークでは、中央にサーバと呼ばれるメインのコンピューターが情報を管理しており、利用者は情報にアクセスする際にはこのサーバを介してやりとりを行います。そのため、中央のサーバが外部からハッキング被害を受けてしまった際には、顧客情報が大量に流出するリスクがありました。
一方で、分散台帳技術を使ったブロックチェーンの場合はネットワークに参加しているノード(コンピュータ)同士が同じ情報を共有・管理することで、どれかひとつのノードが攻撃されてもデータの改ざんや不正アクセスによる大きな被害を被るリスクを防いでいます。
分散台帳技術の2つのケース
分散台帳技術にも管理者が存在するケースがあります。例えば、仮想通貨リップルのネットワークでは中央の管理者が分散された取引記録が正当性のある取引であることを保証する承認方式を採用しており、中央に管理者が存在します。
一方で、ブロックチェーンの場合はネットワークの参加者が新たに発生した取引情報をブロックと呼ばれる取引記録の集合体へ集約し、チェーン状に取引情報を記録していきます。ブロックチェーンは取引の正当性を検証するためにPoWやPoSといった承認方式を採用しており、中央に管理者がいなくても不正が発生しない対策がされています。
仮想通貨とトークンの違い
仮想通貨とトークンの違いは、独自のブロックチェーンで発行したものか既存のブロックチェーンで発行したものかの違いです。
再度、仮想通貨とトークンの違いについて説明します。
「仮想通貨」とはビットコインやイーサリアム 、ビットコインキャッシュ、ライトコインなど独自のブロックチェーンを持った仮想通貨から発行されて流通している通貨です。
「トークン」はすでに存在するブロックチェーン上で発行された仮想通貨です。よく〇〇トークンというように初めて耳にするトークンがあると思いますが、それらのトークンはこうした既存のブロックチェーンのプラットフォーム上で発行され、世の中に流通しています。
トークンは何のためにあるのか
トークンは資金調達(ICO)を目的に発行されます。この資金調達で利用されるトークンをICOトークンと呼び、トークンを投資家に購入してもらうことで発行元の組織は資金調達を行います。
発行元は投資家にトークンを購入してもらうために、取引所に上場させて他の仮想通貨と売買できるようにしたり、購入額に応じてトークンを配布したり、プレセールを行ったりなど、投資家にメリットを感じてもらえるように工夫をします。
ICOでは新しいプロジェクトの資金調達時に、ERC20という規格に沿ったトークンがあります。ERC20規格を設定する前はトークンの規格が異なっていれば対応したウォレットでしか利用できませんでしたが、ERC20の規格が定められたことでひとつのウォレットで一括管理することができるようになりました。
また、投資家にとってはトークンが規格に沿っていることで安心して投資することができるようになり、開発者にとってもトークンに合わせた独自のウォレットを開発する必要がなくなりました。
このように、主にトークンは資金調達を行うために存在し投資家から資金を募りやすくするために開発規格を制定するなど改善が進められています。
トークンのメリット
トークンを保有するメリットは以下の3つです。
- 先行者利益を得られる
- 少額から投資ができる
- 取引手数料が無料
順に解説します。
先行者利益を得られる
トークンを発行した運営会社がプロジェクトの事業展開を軌道に乗せれば、配布されたトークンを保有している分だけリターンを得ることができます。例えば、仮想通貨ゲームであるETH.TOWNなどではレアなキャラクターを販売したり、オリジナルキャラクターの制作をする打ち出しをしてSNSで上手にマーケティグを実施していました。
そして、リリースをする頃には多くのユーザーがETH.TOWNをすでに認知しており売買が盛んに行われることになります。
プレセール時の販売は割引価格でキャラクターが売られているため、格安で購入してから、リリース後に価格が上昇した後に売却すれば差額で利益を得ることができます。もしくは、ETH.TOWNのサービスが拡大していくにつれてキャラクターの価格も上昇するため、長期保有した後に売却することも可能です。
少額から投資ができる
通常は株式やFXトレードをする際には一定数の金額がなければ利益を得ることはできませんが、トークンは比較的少額から購入することができるため、多額の資産を持っていない方でも気軽に投資することができます。
ただし、トークンを日本円で直接購入できないことが多いため、基本的には仮想通貨取引所で主要コインであるビットコインを購入し売買を行う必要があります。
取引手数料が無料
運営会社が販売するトークンの購入時には取引所のように仲介事業者が存在しませんので、取引手数料で費用がかかることはありません。そのため、無駄なコストを割かずに購入することができます。
しかし、取引所に上場して販売されているトークンを売買する際には取引手数料が発生します。
トークンのデメリット
トークンを保有するデメリットは以下の3つです。
- トークンが無価値になる
- 詐欺ICOの可能性
- ICOの規制
順に解説します。
トークンが無価値になる
トークンはプロジェクトの事業がうまく軌道に乗らなければ停滞し、トークンの価格も低下してしまいます。数あるトークンの中には将来的に可能性を秘めたものもありますが、詐欺コインのように資金調達でお金を得るためだけに作られたトークンもあります。
また、トークンの価格が急騰した後には投資家達が一斉に売却する可能性もあり、すぐにトークンの価格は急落を起こしてしまいます。最悪の場合トークンを売却するタイミングを見誤ってしまうと手元には無価値なトークンだけが残るかもしれません。
国内外でトークンは存在しますが、トークンの発行会社のメンバーがどのような実績を持っているのか、事業の実現可能性や将来性があるのかなど、信用できる要素を明確に持った上で購入するようにしましょう。
詐欺ICOの可能性
仮想通貨市場のICOは株式市場のように規制やルールが厳密に決められているわけではないため、自由度がある一方で利用者保護の部分で不安が残ります。
ICOの規制の穴を見つけてICOを利用した詐欺が行われることも度々ニュースで話題になっており、日本でもクローバーコインを運営する48ホールディングスが業務停止命令を受けています。
クローバーコインはMLM(ネットワークビジネス)の一種で「今はじめたら稼げる」などと会員が勧誘活動を行なっており、その活動が特定商取引法違反に当たるとして規制に至りました。
ICOの規制
トークンによる資金調達(ICO)はまだ法整備が整っていないため、ある日突然、ICOが禁止される可能性もあります。
現在は、2018年12月14日の金融庁「仮想通貨交換業等に関する研究会」で「問題はあるが禁止せずにリスクや機能に応じて規制する」「ICOトークンの購入自体は自己責任で行うよう注意喚起をする」と金融庁は述べています。そのため、引き続きICOについては見守る姿勢が続きそうです。
今後、ICO投資に参加する人は業界の最新情報を得ることを心がけ、規制によって大きな損失を得ることがないように気をつけてください。
主なトークンの種類
仮想通貨のトークンの種類は使い道によってそれぞれわかれます。
- 仮想通貨型トークン
- 会員権型トークン
- プリペイド型トークン
- ファンド持ち分型トークン
- アプリケーション・プラットフォーム型トークン
順に解説していきます。
仮想通貨型トークン
仮想通貨型のトークンはビットコインやライトコインのように仮想通貨自体が通貨の価値を持つトークンで、決済手段としての役割を持ちます。
トークンが仮想通貨取引所に上場すればトークンを日本円などに換金できますし、トークンをサービスの対価として利用することもできます。
会員権型トークン
会員権型のトークンは、あるプロジェクトで発行されたトークンを保有することで、プロジェクトが主催するキャンペーンやイベントなどに参加して優遇を受けられるトークンです。
株式の優待に似たようなもので、保有するだけでメリットが受けられるメリットがあります。
プリペイド型トークン
プリペイド型トークンは、あるプロジェクトが提供しているサービスを受ける際に使用することができるトークンです。
例えば、日本で利用されているSuicaやPASMOなどの電子マネーを発行している企業のサービスで使用することができたり、コミュニティ系のプロジェクトではユーザー間でのサービスやモノの売買で利用することができます。
ファンド持ち分型トークン
ファンド持ち分型トークンとは、プロジェクトを運営する事業者の事業成果に合わせて、ユーザーが保有しているトークンの割合で収益を得ることができるトークンです。これも株式の優待と似た性質を持ち合わせています。
プロジェクトが軌道に乗り収益が出れば保有量に応じて多くの配当を得られますので、将来的に可能性の大きいトークンには多めに資金を回すとよいでしょう。
アプリケーション・プラットフォーム型トークン
アプリケーション・プラットフォーム型とは、ある仮想通貨のプラットフォーム上で開発されたアプリケーションで利用できるトークンです。
例えば、イーサリアムのプラットフォーム上で開発されたゲームアプリで利用することができる通貨のことを指します。
トークンの今後
今後は、トークンを活用した経済「トークンエコノミー」が普及していくと考えられます。
トークンエコノミーでは、それぞれのトークンごとに独自の経済圏が構築されるため、従来の経済システムで実現できなかったことを実現できるとされており、大変注目を浴びています。
例えば、仮想通貨を使ったSNSサービス「VALUE」は、ユーザーがなりたい・やりたいことを実現するためにユーザー同士が支援し合うサービスです。プラットフォーム内では「VA」という独自のトークンが発行され、ユーザーは将来的に伸びそうな人のVAを購入したり、自身の価値をトークンとして発行することができます。
このように、人の価値をトークン化することで、トークンを使った経済圏を構築しています。その他、2019年にトークンのICO規制がどのように展開されていくのかや新たなトークンの使い道についても注目していきましょう。
まとめ
・仮想通貨とトークンの違いは、独自のブロックチェーンで発行したものか既存のブロックチェーンで発行ものかの違い。
・トークンは「個人や組織で発行できる」「管理者が存在する」「それじれ独自の価値がある」などの特徴がある。
・分散台帳技術(DLT)とは、分散された台帳にデータを記録・保管する技術のこと。
・トークンは主に資金調達(ICO)のために利用され、2019年4月現在でもICOの規制は整っていない。
トークンの概要や特徴、仮想通貨との違いについて解説しましたが、参考にしていただけましたでしょうか?
数年後にはトークンを当たり前にスマートフォンで利用している可能性があるほど、トークンの使い道は未知数であり、利用価値が高まる可能性は高いと言えます。
この機会にどのようなトークンがあるのか、どのような使い方がされているのかなどを調べておくとより理解が深まりますので、トークンに興味を持っていただけた方は一度勉強してみてはいかがでしょうか。