ビットコインが誕生して以来、数多くの仮想通貨が誕生し、世界中で取引が行われるようになりました。
特に今年になってからビットコインの価格が100万円を回復し、注目度も上がっています。
仮想通貨は種類も多いのですが、取引方法もいろいろあります。
今回は、仮想通貨の取引方法の一つであるOTC取引についてわかりやすく解説します。
仮想通貨のOTC取引とは?その特徴
仮想通貨のOTC取引とは一体どのような取引方法なのでしょうか。
OTC取引とは
OTCとは、Over The Counterの頭文字を合わせた言葉です。
もともとは、お店のカウンター越しに行う取引のことで、株式取引を本来の証券取引所ではなく、証券会社のお店で株式を売買する取引を意味していました。
仮想通貨取引の場合は、仮想通貨取引所を介することなく、購入希望者と売却希望者が1対1で仮想通貨を取引します。
また、広い意味でのOTC取引では、仮想通貨取引所からユーザーが仮想通貨を購入したり、仮想通貨取引所に仮想通貨を売却したりすることも含まれています。
したがって、販売所形式の仮想通貨取引所での取引もOTC取引とする見方もあります。
なお、販売所形式以外の仮想通貨取引所での取引は、取引所形式とよばれます。
取引所形式は、仮想通貨を売却したい人と購入したい人を取引所が仲介する取引方式で、例えて言うなら株式取引のような感じの取引です。
OTC取引の方法
仮想通貨のOTC取引は、世界中の仮想通貨のユーザーが相手となります。
そのため、仮想通貨のOTC取引ではSkypeなどのインターネットを使った通信サービスが利用されています。
仮想通貨を売りたい人が、売却したい数量と価格、そして決済方法を提示し、それに買いたい人が同意すれば取引が成立する仕組みです。
市場価格へ影響を与えたくないと考える大口の仮想通貨トレーダーや機関投資家などの間でよく利用されていると言われています。
仮想通貨のOTC取引のメリット
仮想通貨をOTC取引すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
①仮想通貨取引所に関わるリスクが少ない
過去には仮想通貨取引所が不正アクセスにあって、ユーザーから預かっていた仮想通貨が盗難の憂き目にあった事件が何回か起こっています。
OTC以外の仮想通貨取引では、仮想通貨取引所を介さなければ、取引を行うことそのものができませんから、法定通貨や仮想通貨という資産を預けることになる仮想通貨取引所のセキュリティ体制がとても重要になります。
セキュリティ体制に穴があれば、ユーザーの資産が損なわれる可能性が高くなるからです。
ですが、仮想通貨取引所のセキュリティは、個人では確かめる術はほとんどなく、仮想通貨取引所の説明を信用する他ありません。
その点で、OTC取引では仮想通貨取引所を利用することがないので、仮想通貨取引所のセキュリティというリスクを避けることができるのもメリットと言えるでしょう。
②取引が成立しやすい
仮想通貨の種類はとても多く、今ではなんと1000以上もあると言われています。
それほど種類の多い仮想通貨でも、ビットコインなどのメジャーな通貨なら流動性が高いので、比較的、取引も成立しやすい傾向があります。
その反面、人気の少ない仮想通貨は流動性がどうしても低くなりがちですから、取引が成立しにくくなります。
OTC取引では、仮想通貨の売主の希望価格に同意すれば、即座に取引が成立します。
たとえマイナーな仮想通貨であっても、取引が成立しやすいのもOTC取引のメリットです。
③大量の取引が可能
仮想通貨取引所を介した取引では、板(気配値)に希望する取引価格と取引数量が現れますので、大口の売買が入るとすぐにわかりますから、需給バランスに影響を及ぼしてしまう恐れがあります。
ですが、OTC取引では、個人と個人で仮想通貨の売買をしますから、需給バランスに影響を及ぼしにくく、価格が変動するリスクを軽減できます。
また、仮想通貨取引所では、一回の仮想通貨取引量に上限を設けているところがあります。
上限以上の取引をしたい場合は、取引を何回かに分けなければならないことになりますから、取引の効率が悪くなります。
OTC取引なら、そんな面倒な手間もかからず、希望する数量を提示するだけで取引が成立します。
OTC取引では、需給バランスや数量の点からも大量であっても取引しやすいというメリットがあるわけです。
④取引時間に制限がない
仮想通貨取引所の多くは、取引所のコンピュータシステムのメンテナンスのために、定期的に取引できない時間帯が設けられています。
株式取引と違って、仮想通貨取引は、24時間365日世界中で行われていますので、常に価格が変動し続けています。
したがって、システムメンテナンスで取引できない時間に何かあった場合、大きな損をしてしまう恐れがあります。
ですが、OTC取引では、24時間365に取引できますから、取引ができなくなるリスクがないというメリットがあります。
⑤取引手数料がかからない
仮想通貨取引所では、仮想通貨を売買した時に取引手数料を課しており、これを収入源の一つとしているところが多いです。
ところが、OTC取引では仮想通貨取引所を利用せず、一対一で取引しますから、取引手数料を支払う必要がありません。
より低コストで仮想通貨を取引できるメリットもあります。
⑥取引が簡単
普通の取引なら、仮想通貨取引所に口座を開設して、法定通貨を入金しなければ、取引を始めることができません。
ですが、OTC取引では、仮想通貨取引所を利用しなくても仮想通貨を売買できますから、このような手間暇がかからないわけです。
もちろん、仮想通貨取引所での取引画面で複雑な取引操作を行う必要もありません。
このように、取引を簡単に進めることができるのも、OTC取引のメリットの一つと言えるでしょう。
⑦価格変動のリスクが少ない
仮想通貨取引所での仮想通貨の取引では、売買の約定までに時間がかかることがあります。
その点、OTC取引では、仮想通貨の売り手の条件に合意すれば契約が成立しますので、約定にかかる時間がとても短いです。
約定に時間がかかると、その間に価格変動が起こりリスクが高まりますので、OTC取引には価格変動の影響を受けにくいというメリットがあるのです。
仮想通貨のOTC取引のデメリット
メリットがあればデメリットもあるのが世の常です。
OTC取引でのデメリットにはこのようなものがあります。
①購入価格が高くなったり、売却価格が安くなったりするリスク
一般的な心理として仮想通貨を売却したい人はより高い値で売りたがりますし、購入したい人は反対に少しでも安く購入したいものです。
仮想通貨の価格は常に変動しているものですから、OTC取引の成立時には、交渉している時より値が上がったり下がったりしている可能性がありますから、取引条件によっては予想以上に購入価格が高くなっていたり、反対に売却価格が安くなったりしているリスクがあります。
②売り手と買い手が見つけにくい
仮想通貨をOTC取引しようとしても、売りたいときには買い手を、買いたいときには売り手をすぐに見つけられるとは限りません。
仮想通貨取引所なら、そんな人がたくさん集まっていますので、売り手買い手を見つけやすいというわけです。
売り手や買い手がすぐに見つかると限らないのが、OTC取引のデメリットのひとつです。
③信用できるかどうかの見極めが難しい
OTC取引では、仮想通貨の取引を仲介してくれる立場の人物や法人がいません。
相手の素性を確かめるのも困難です。
もしかしたら、先方が売ろうとしている仮想通貨は、不法な手段で入手したものかもしれません。
つまり、OTC取引では、取引相手の信用度合いをチェックするのが難しいというデメリットがあるのです。
④詐欺に遭うリスク
OTC取引では、仮想通貨を知らない人同士が、Skypeなどのインターネットを使った通信サービスを通して仮想通貨を売買します。
そのため、仮想通貨を購入しようと代金を振り込んでも仮想通貨を送金してくれない可能性もありますし、反対に仮想通貨を送金しても代金を支払ってもらえないリスクもあります。
つまり、詐欺に遭う可能性があるわけです。
コインチェックでOTC取引ができるように
OTC取引には、さまざまなメリットがある反面、デメリットも内包されています。
そこで、OTC取引によるリスクを軽減することを目的に、仮想通貨取引所の中にはOTC取引の仲介にのり出すところが現れました。
仮想通貨取引所が仲介すれば、信用というOTC取引上のデメリットを解消できるメリットが生まれます。
OTC取引を行っている仮想通貨取引所の一つにコインチェックがあります。
コインチェックでのOTC取引
コインチェックでは、2019年4月1日から大口の取引ユーザーを対象としたOTC取引を受け付けています。
今のところ、OTC取引の対象となるのはビットコインとイーサリアム・リップルだけですから、コインチェックが取り扱っている仮想通貨全てが対象となっているわけではありません。
また、ビットコインの場合、最低取引量が50BTC、最大取引量が1000BTCとなっていますから、2019年9月25日現在のビットコインの価格が1BTC=約90万円を基準に計算すると、50BTCはおよそ4500万円になります。
このことからコインチェックのOTC取引は、数千万円以上の取引を対象としたサービスであることがわかります。
なかなかの高額取引ですが、取引レートはコインチェックの通常の取引よりも割安に設定してあり、より低コストに取引できる利点があります。
コインチェックでのOTC取引の注意点
コインチェックの仮想通貨取引は、不定期に行われるシステムメンテナンスの時間を除き、原則的に24時間365日取引可能とされています。
ですがOTC取引に関しては、平日の10:00〜17:00のみと取引時間が区切られているので気をつけてください。
また、コインチェックでOTC取引をするなら、通常の仮想通貨取引と同じくコインチェックに取引口座を開設しておく必要があります。
コインチェックに口座をまだお持ちでないなら、まずは口座を開設するようにしましょう。
まとめ
今回は、仮想通過のOTC取引について解説しました。
OTC取引はSkypeなどを使って一対一で仮想通貨の売買をする取引方法です。
そのメリットは、
- 取引時間やコストなどの点から取引がしやすい
- 仮想通貨取引所に関わるリスクがない
という点に集約されます。
一方、デメリットは
- 割高、もしくは割安になるという価格のリスク
- 取引相手の信用度がわかりにくいリスク
があります。
最近ではコインチェックのようにOTC取引に参入を図る仮想通貨取引所も出てきました。
仮想通貨取引所を介せば、取引相手の信用に関わるリスクを回避した上で、より低コストに取引できますよ。